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最後にいわきで会った時、かおちゃんはフランスに根をおろすだろう、簡単に帰ってくることはないだろうと直感した。
フランスに行って見違えるほどたくましく、広くなった。
そのことを、かおちゃんのパリの友達にメールしたら「カオリはたくましくなりましたか?僕は放ったらかしです。たくましくなったのだとしたら、おそらくパリの空気を吸って、カオリなりに何か吸収したのだろうと思います」と。
テロがあった時、心配したけど、でもかおちゃんなら大丈夫なんだろうと思った。
かおちゃんはほとんど動物だから(ごめん)、最後に身を守る術を本能できちっとわかっているし、足元が危ういくせに手で掴みとるようなところがあるのを知っている。
パリといわきでいつもやり取りをしていて、いつの間にかかおちゃん自身の飼い慣らせない心の渦を少しづつ流して、料理をするようになって、変わらず根性なしの私に「はるえはどこまでも行きなさい、いつもどうなっても最後は大丈夫」と送り出してくれるようになった。
私たちはいつも大丈夫なんだ。
どこにいてもなにをしていても、なにがあっても。いつもそう思う。
どんなにぐちゃぐちゃになっても、泣きながらペヤング食べたり、ラーメンズがん観したり、山に登ったり、写真を撮って現像したりして、情けないくらいたくましい。
秋に会える。
簡単に帰ってこないだろうと直感したかおちゃんは、直感通り簡単には帰ってこないけど、鳥が育った巣の場所にまた巣をつくるように、また羽ばたけるように、時間をかけてひとまわりして帰ってくる。
かおちゃんは右に、私は左に行って、また会う日がある。
そのことがすごく楽しみで、さあがんばろうぜ、と思う。