いっぽんだけ煙草を吸わせて


前向きにもなれないし、かといって後ろ向きでもない。
ふつう。それだけ。



昨夜つぶやいたことを、あんまり覚えていない。そうとう眠かったみたい。
「ちゃんと寝ても寝なくても、明日はくるのだろうな。それなら真面目に眠ることだけ考える。赤ワインはもういらない。おやすみ」

寝言みたい。
でもひとつわかるのは、ふつうに暮らすそのなかで眼をこらし見ているものは今までと少し違うから
自分をまもる方法を考えなくてはいけない、まばたきを忘れてはいけない。そういうこと。


でも私は一方で、未だにあの時の気持ちにどこか帰ろうとしている。
忘れないようにするためのやり方を模索している。箱にうまくしまえないの。
今のところ、忘れないようにするためのやり方が「すべて見て自分に刻む」やり方しかなく、ものすごく疲れるし消耗する。


でも闇のなかにはいない。そこばかりを見ているわけではない。疲れては休むことができている。
いつかきっと整理して箱にしまえる日がくるだろうし、のん気に笑う自分がいる。


きっとみんなそうだと思う。
「前向き」と「後ろ向き」の間の「ふつうにたんたんと」だと思う。


それでいいんだと思う。