入り口出口もただの穴
もう10年以上まえ、姉が当時付き合っていた彼の家 兼 飲食店で起きた出来事。
姉の彼のいとこのMちゃんと、彼の兄の にいに と、あと誰がいたのかな、私の姉はどこにいたのだろう。とにかく大勢で飲んでいてあるニュースの話になった。
大阪で小さい男の子が母親に殺されて捨てられていた、という事件があり、わりとニュースで取り上げられていてみんなも気になっていた。
にいに もMちゃんも基本的に熱いひとで、議論好きで、意見が合わないことが多いふたりが込み入った話をするといつももめて、いた。(ように思う)
にいに は女の子の父親で、子どもを殺す母親なんて最低だ、許せないとすごく怒っていて、どんどんその母親への批判がエスカレートしていって、産まなければよかったんだと言ってビールをがぶりと飲んでいて
Mちゃんは2人の女の子の母親で、同じ母親として、彼女がなぜ息子を殺して捨てたのか、何があってどう思ったのかをすごく知りたいと、彼女もまたビールを飲む。
だんだんふたりが熱くなり
にいに がMちゃんに「殺した結果は結果だ、経緯でなく殺してしまった結果、母親失格なんだ、Mの考えは少しずれていて甘い」
とふっかければ
Mちゃんは にいに に「母親として子どもを殺すまでこころから憎むとはどうしても思えない、母親失格だとは思うが、必ず彼女にも言い訳や心になにかがあったはずだ」
と言い返して、それでも最後はMちゃんが にいに に言い負かされて泣いていた。
けんかはわりとよく見ていたので慣れていたから、私はお皿を下げたりしてなんとなくふたりの様子を見ていた。
ぼんやりしながらも、Mちゃんの言うことはとても印象的だった。
経緯、表面にある結果の中身。そうだよな、中身の思いや立場ってあるよね。
Mちゃんの言っていたことが、私が考え事をするときや物事を判断するときのメソッドになっているし、さまざまな事柄の両側を見てみたい、と思うようになった。
裏側と思っていた場所も、そこから入るひとにしてみれば表側。
向きが違えば、右は左で、左は右。
そして、本当のことであればあるほど、わかりづらくて、理解しがたいことも知った。
先日、古本屋で見つけた、マグナムフォトグラファーズの9.11の写真集。値下げ(!)してあり、なんと500円。即買い。
9.11後に、アメリカでよく起きていたこと。
で、今。日本。
いろいろなところで、議論や炎上が起きていて。
ひろく受け取りたいなと心から思っている。
仙人になりたいと、じんわり思いつつ赤ワインを飲んだ昨夜のこと。
一緒なのにな、みんなさ、考える事は基本的に。いたたまれない。