風と海と笹の葉

目の前にある様々なかたち。小さな村のようだなと思った。
船の先には笹が1本、高く高く括りつけられて遠くからも見え、笛のようにその船の存在を教えてくれた。

少しづつ活気が戻っていく。
でもその船はここよりも遠い、北の方まで行く。風の日も雨の日も行く。
そこにいた人の、その瞳は黒く射ぬくように細かった。握手をした手はカイロみたいに熱い。


今ちょっとした調べ物をしていて、それは海に関することで
ずいぶん前に見て会った写真の船と人を、思い出しながら進めている。
心はそう簡単に通じない。慎重に剥がす作業。
少しづつ、ちらちらと見えていくかけらは割れた鏡だ。簡単に触ると血が出てゆがむ。

笹の葉はその船の行く先を導いてくれるのかな。
だとしたらこの調べの行く先も導いて欲しい。

美しく強くしなりながら、その船を守って欲しい。